内海のティーブレイク

内容は多岐にわたります。

渕上舞コンセプトベストアルバム〜Dreamy Stories〜 "満5周年を祝うに相応しい一体感"

 

 

ごきげんよう。内海です。

今回は、先日リリースされた声優アーティスト渕上舞さんのコンセプトベストアルバム〜Dreamy Stories〜についての感想等を、まとめていければなと思っています。

 

まず作品全体の印象として、絵本とCDとの相乗効果が高く、絵本を読むのをマストと言いたいほど、CDの曲目や並びが考えられているなと思いました。
まるで絵本の主人公の状況・心情を楽曲がなぞっているような、そんな印象でした。


その中でも新曲についてお話します。
新曲4曲を個人的な主観の印象を言葉で表すなら。

★『目眩』→渕上流

★『Dreamy Stories』→渕上イズム

★『無敵アップデート!』→Mai Style

★『ON STAGE』→「歌手渕上舞

と言ったところでしょうか。
前提として、絵本のあとがきに〈線の一本一本、言葉選びの一つ一つを丁寧に〉とあったので、新曲の作詞に関してもいつも以上に言葉選びに気を遣われたのではないかと予想しています。

 

『目眩』について
歌詞に「聴こえる音色はノイズだらけ」とありますが、あえて″聴こえる"の字を使っているので、この曲における主人公は、周りの音をしっかり聴こうとしていたことが分かります。言い方を変えると、周りの意見を聞いたり協力したり、一緒に寄り添って生活していこうとしていた、というイメージです。しかし、実情はかけ離れていて、寝不足だし、ドレスは着心地悪いし、色々と我慢していたことが伝わってきます。
また、「たすけて」が「助けて」ではないことから、物理的な助けではなく、ただ「たすけて」欲しかったのだろうと思われます(伝われ)。上手く言えませんが、心のたすけが必要だった。そしてこの表記にすることで、声が意味の汲み取れる言葉になっていない、ということを示したいようにも思います。

個人的感覚ですが、『A Crow』と『揺れるMoonlight』の要素を持った曲だと感じました。こういった曲はやはり好きですね。鬱々とした雰囲気を漂わせつつも、どこか開放感がある。私の(勝手に)定義する渕上流に当てはまると思います。


『Dreamy Stories』について
「「もう嫌だ」と泣いた」や「叶わない夢もたくさんある」と言いつつも、「ガラスの靴履いて歩く」や「奇跡だけ詰め込んだ」エンディングもいいなと、好きなエンディングを考えている歌詞がなんだかとても可愛いです。そしてこれらのエンディングって、定型的なハッピーエンドというよりは、その人(主人公)が1番輝いてる瞬間であって…そこをエンディングの候補に入れているのがなんだか舞さんらしいな…と。
「明日目が覚めたら 見た夢の続きを描こう 大好きな青が滲んでも 思い出は消さないよ」の歌詞が好きです。時折他で言われている渕上イズムを感じます。
素直にメロディがステキです。これもお気に入りの1曲です。


『無敵アップデート!』について
要所要所に、渕上節が散りばめられていて、最終的には応援したくなるような楽曲ですよね。細かい説明は省きますが、明るくアップテンポな曲の歌詞に舞さんがよく使っている技法、渕上節が印象的でした。
一方で、主人公というワードが出てきますが、舞さんが主人公にスポットを当てるというか言及するのって、意外と珍しいのでは?なんて思っています。


『ON STAGE』について
こちらはライブ披露が楽しみな楽曲になってますね。全体的にちょこちょこと、これまでの曲を雰囲気で連想させるワードがあり、まさしく"ステージ上″というイメージが、ダイレクトにしっかりと伝わってきました。
例としては下記です。
「僕は無敵になれたよ」→『無敵アップデート!』
「全部思い出だよ だから捨てないで」→『星空』

 

続いて絵本についてです。
最初に読んだ時、お城を抜け出すところが、ローマの休日を彷彿とさせました。その後の展開は違うのですが、お城を抜け出す流れって、変な言い方ですけどなんだかロマンがありますよね。

鳥が出てくるところは、舞さんの鳥に対する印象が大きく反映されているかと。窮地を助けてくれる存在ではあるけれど、それでも鳥さんは自由でいる、という風な…。

おじいさんがタオルで拭いてくれたところは、ラジオである時言っていた、「知らないおじさんに助けられたことが何度かある」というのをここで取り入れたか?と思ってしまいました(笑)

最後、お姫さまは「私、ひとりぼっちじゃなかったんだ。」と気づきますが、これは周りのお城の人たちとしても、気づきがあったのではないか?と思っています。冒頭の自分のことばかりで忙しそうというのはある意味本当で、お城の人たちもお姫さまがいなくなって初めて、お姫さまのことを大事に思っていたんだな、と自分自身で思ったのではないでしょうか?そういった人々のちょっとした感情のすれ違い、そして大切な存在への気づき、これはテーマのひとつになっていると感じました。

 


そして3つのライブ映像とコメンタリーを観て再認識したのは、当たり前のことではありますが、ライブにおいて、パフォーマンスする舞さん自身はもちろんのこと、それを直に支えて作ってくださるバンドメンバーやスタッフの方々、そして言うなれば受け手側となる我々観客(遠くで応援するファンの方なども含む)。それぞれが大切な存在だということです。細部まで考えればもっとたくさんの方がいるでしょう。どの存在も欠けてしまっては成り立たないのです。

 

CDに絵本にライブ映像、これらから伝わってくるのは大切な存在をちゃんと大切だと思える、まさしく夢のような物語。『Dreamy Stories』が表題曲なのもうなずけます。これが実現化しているというのは、尊いことだと思います。したがって、満5周年を祝うに相応しい作品としての一体感を感じ、そこがとても魅力的でした。

 

以上が私の感想になります。今回のこのコンセプトベストアルバム、気軽に手に取るのは難しいお値段ではありますが、楽曲だけでも触れてみてはいかがでしょうか。

 

それでは、また。    内海